せどり・転売ビジネスの事業が拡大し始めたら、法人化を検討する人も多いと思います。
実際、僕も個人事業主という立場で、コンスタントに売り上げを出せるようになって、法人化を行いました。
「個人事業主が法人化するメリット・デメリットを知りたい!」
「そもそも法人化したらどうなるの?」
「せどり・転売では法人化するべきなの?」
今回は、このような悩みを抱えている人のために、個人事業主が法人化するメリット・デメリットを解説していきたいともいます!
特に、せどり・転売ビジネスは売上が継続的に出ますし、これを機に法人化するのもアリですよ!
よくわかる解説
節税対策になる
月間利益500万円以上は法人化したほうがお得
社会保険の負担が増える
法人化する上で意識したい基本的なポイントを解説します!:0章
まず、あなたが現状法人化するべきなのかどうかを解説しますね!
個人事業主である程度利益が出ているなら、法人化を検討するのもわかります。
しかし、「個人か法人か迷っている」という人は、置かれている状況・行う事業によって法人化するかどうかが変わります。
せどり・転売をしている人なら、法人化する価値は大いにありますよ!
仮に、法人化したいと思っているなら、下記のポイント押さえておきましょう。
事業資金を自己資金だけで捻出できるかどうか
経営は自分ひとりでできるかどうか
事業拡大を検討しているかどうか
個人事業主で問題なく賄えるかどうか
事業資金を自己資金だけで捻出できるかどうか
せどり・転売というのは、自己資金が必要になるビジネスです。
資金調達は、クレジットカードの発行等で賄うことができますが、使える限度額に限りがあります。
限度額が多い法人カードの発行、銀行等の金融機関からの融資を検討しているなら、法人設立をしたほうが良いですよ(^^)/
経営は自分ひとりでできるかどうか
次に、経営に関してです。
事業経営をしていく上で、あなた一人で賄うことができるなら個人事業主として活動して問題ありません。
経営のノウハウが一切ない
せどり・転売で手伝ってくれる人がほしい
完全に作業を自動化したい
この様な人は、法人化を検討すると良いでしょう。
事業拡大を検討しているかどうか
せどり・転売をすると、事業拡大を考える人も多いと思います。
内部留保で、自己資金を回していき、売り上げを拡大していくこともあれば、融資等を積極的に利用し、拡大していく方法もあります。
売り上げが出れば、その分利益も出るわけですが、一般的に”年間の利益が500万円以上出る場合”は、会社設立が有効といわれています。
※事業によって異なる
今後、本格的にせどり・転売を拡大していきたいと思っているなら、法人化をするのも良いでしょう。
個人事業主で問題なく賄えるかどうか
最後に、個人事業主で問題なくビジネスができるかということです。
実際、せどり・転売をしている人や、この記事を読んでいる人は個人事業主だと思います。
まだ手続きをしていない人は、下記の手続きを行う必要があります。
個人事業主:税務署に開業届を出す
法人化:法人登記(設立費用20万円)、資本金の用意
法人化をするには、費用がそれなりにかかります。
個人の範囲でまかなえるなら、個人事業主として行っていくのが良さそうです!
せどり・転売で法人化するメリットを4つ紹介します!
様々な事業で法人化を検討する人はいると思いますが、せどり・転売は特に売り上げが出やすいビジネスなので、事業が軌道に乗ったら法人化することもあります。
しかし、実際法人化したところで、どういうことになるのか実感がわかない人も多いでしょう。
そこで、せどり・転売で法人化するメリットを解説していきたいと思います!
中でも、もっと大きいのは節税対策になるという点です。
法人税・法人住民税の支払いが増えますが、個人の所得の累進課税に比べると節税になります!
※詳しくは後述
また、株式会社というだけで信用力が上がって資金調達も簡単になりますね!
節税対策になる
まず、法人化を行うと節税対策になります。
仮に、法人化した場合にかかる税金は、”法人税・法人住民税・法人事業税”の三つになります。
こちらは、”実効税率”によって決まりますが、2020年4月の時点では37.04%です。
※実効税率とは各種税率を足した合計成立のことを指します
内訳は、下記の通りです。
法人税:23.4%
地方法人税:4.4%
住民税:12.9%
事業税:9.59%
国が決める一律の税率に対して、個人事業主の場合は累進課税制度を取っています。
所得が増えれば増えるほど、税金が上がる仕組みのことです。
- 所得195万円以下:5%
- 330万円以下:10%
- 695万円以下:20%
最大で税率は40%になるので、この時点で法人化のメリットはあります。
特に、せどり・転売では利益が出やすいビジネスなので、申告額が多くなることはよくありますからね!
さらに、法人化した場合”役員報酬”として給料が入ることになります。
役員報酬の計算は、下記の通りです。
「会社の売上-必要経費-給与所得控除」
売り上げから必要経費を差し引いて、さらに役員報酬の一定の割合で所得を控除するので、節税につながります。
それを踏まえた、税務上のメリットは下記の通りです。
税務上のメリット
給与所得控除が可能
経費のふり幅が大きくなる
欠損金の繰越※最大10年間
消費税の免税
配偶者・家族への給与の分配
給与所得控除が可能
法人化すると、会社から役員報酬として給与をもらうことになります。
この分配は、売上から必要経費を引いたものです。
しかし、法人の場合はここから”給与所得控除”も差し引くことが可能です。
給与所得控除とは、「役員報酬の一定金額を必要経費としてみなす」ことを指します。
経費のふり幅が大きくなる
次に、経費のふり幅が大きくなるという点です。
個人事業主の場合、”家計用・事業用”の分担をすることができない人も多く、事業経費として認められる金額が少ないです。
しかし、法人の場合は、”株主のもの”として会社が設立されます。
会社の経費として使うものは、個人事業主よりも明確にする必要があり、”事業で使うことが前提”のものとして、計上します。
※しなければ脱税になります。
自宅兼事務所
せどりに使う自動車・ガソリン代
梱包材・吸収剤
生命保険料
事務所の水道光熱費
この様に、個人事業主では曖昧だった部分を、法人化すると経費で落とせるようになるのです。
欠損金の繰越※最大10年間
せどり・転売で、赤字が続くことはまずないと思いますが、年度で赤字が出た場合翌年度の所得と相殺可能です。
”欠損金の繰越控除”と呼び、最大10年間まで繰り越しすることが可能です。
個人事業主でも可能であり、純損失であれば3年間の繰り越しが認められています。
消費税の免税
個人事業主・法人は、創業してから2年(2期目)の間は、消費税が免税になります。
※原則として
しかし、これには条件があります。
第一期の売り上げが1,000万円以上を超えないこと
資本金が1,000万円以下
この場合は、消費税控除を受けられます。
この制度を積極的に利用したいなら、個人事業主2年+法人2年の合計4年間で免除を受けましょう。
配偶者・家族への給与の分配
最後に、配偶者・家族への給与分配です。
個人事業主の場合、”青色事業専従者給与”という届け出を出せば、給与所得者として認められ、給与を経費として落とせるようになります。
しかし、法人の場合、このような取り決めは一切ないので、事業に従事している人であれば支払うことが可能です。
労働の対価として与えることになるので、”せどり・転売を一時的に手伝ってもらった”という場合でも、支払うことができます。
これをすることで、下記が可能になります。
所得の分散
所得税の節税
住民税の節税
法人化を検討指定なら、この辺はしっかり押さえておくことが重要です!
資金調達が楽になる
せどり・転売をしたいと思っているなら、資金力が最も重要になってきます。
資金調達で一般的なのは、下記の通りです。
融資
クレジットカード発行
法人カード発行
個人事業主でできることは、法人カード発行以外ですが、融資条件が法人よりも厳しくなるので、調達できない場合も多いです。
しかし、法人化すればある程度の信用力があり、事業内容によっては積極的に融資してくれるようになり、資金調達も簡単にできます!
補足:個人と法人で難易度が変わる理由
一般的な認識からすると、個人よりも法人のほうが融資を受けやすいというのはわかると思います。
しかし、なぜ個人が借りにくく、法人が借りやすいのかわかっていない人も多いと思うので、簡単に説明していきますね!
まず、個人の場合ですが、前述したとおり”個人費用・事業経費”の分担ができていない人が多く、青色申告で控除を受けない限り貸借対照表は作成しなくてもよくなっています。
※確定申告で必要になる人は発行しています
貸借対照表がない場合、金融機関で融資審査を行う場合、貸す金額を決めることができないので、数百万円・数千万円の融資は受けることは不可能に近いです。
(多くの場合は保証人をつけることを命じられます)
しかし、法人の場合は、個人事業主に比べると、脱税の防止もあって財務管理にかなり厳しいです。
税理士を雇って、”損益計算書・賃借対照表”を作成しなければなりません。
この場合、会社のお金の動きが明確にわかるので、金融機関からしてもいくら融資すればいいのかを決めることができるので、個人に比べると貸しやすくなるわけです!
信用力が上がる
個人事業主としてビジネスを行う場合と、法人としてビジネスを行う場合は、圧倒的に後者のほうが信用力は高いです。
僕も、過去に様々な会社と取引をしてきましたが、取引先を法人のみに指定しているところも少なくありませんでした…
個人事業である程度利益を出しているとはいえ、法人としての基盤がないので、不安定だと思われることも多いようです。
そのため、法人化することで取引先の拡大・確保につながるというメリットもあります。
また、先ほども解説した通り、個人・法人では信用力に雲泥の差があるので、融資を受ける際に大きく違いが出ます。
特に、せどり・転売では資金調達をすることが多いので、大きな額を動かしたい場合は、法人設立を行い、融資を受けると良いでしょう!
さらに、人をアルバイト・正社員で雇うことになった場合、個人事業主よりも法人のほうが集まります。
働く側からしても、会社の基盤が整っている法人のほうが安心ですからね!
融資についての詳しい内容については、下記の記事で解説しています!
合わせて参考にしてみてくださいね♪
https://kameratenbai.net/2020/02/21/collecting-sideline-funds/
未払い・延滞による個人資産の差し押さえがない
最後に、個人資産の差し押さえがないという点です。
個人事業主の場合、”借入・仕入れ資金の未払い”がある場合は、事業主に返済義務があります。
しかし、法人の場合は”出資”という範囲で行うことになるので、会社が破産した場合は形式上は個人に返済義務が発生することはありません。
そのため、個人資産が差し押さえされることはないです。
ただ、下記の場合は、個人が免責を求められる可能性もあるので注意しましょう。
金額の大きな仕入れ代金の決済・未払い金
金融機関の借入金
個人に求められるというよりは、連帯保証人になるように求められます。
ただ、借入金は返すのが原則ですし、仕入れ代金は払うのが当然です。
法人の場合は、個人に返済義務がないとしても、結局支払いをするのは社長個人になってくるので、免れることはできません。
せどり・転売で法人化するデメリットを4つ解説します!
せどり・転売で継続的に利益を出す場合、節税の観点から法人化するのがベストです。
しかし、状況次第では法人化しないほうが良い場合もあります。
売り上げが立てばメリットもありますが、デメリットもあるからです。
会社設立にコスト・時間がかかる
社会保険に必ず加入しなければならない
事務負担・経理が増える
交際費を全額損金にできない
いずれもデメリットになる項目であり、事務負担・経理が個人事業主に比べると増えるのは、かなり痛手です。
税理士を雇うにもお金がかかりますし、必要経費も増えます。
会社設立にコスト・時間がかかる
まず、会社を設立する場合は、個人事業主のように開業届を出すだけではすみません。
会社設立は、大きく分けて下記をしなければなりません。
法人登記
法人申請
定款の作成
株式会社を設立する場合を例に挙げると、法人登記が必要です。
法人登記をするには、最低でも20万円の登記費用を用意しなければなりません。
(定款認証費用5.2万円+登録免許税15万円)
さらに、これにプラスして会社の資本金が必要となります。
1円から設立することができますが、会社の信用度にもかかわってくるので、まとまった資金を要しておくことが重要です。
申請してから、会社運営をするまで1か月以上かかりますし、時間もかかります。
さらに、毎年税務申告を行う場合、赤字計上をしたとしても”法人住民税”は支払う義務があります。
※エリアによって支払う額は異なる
そのため、法人設立をすると、お金・時間がかかることは覚悟しておきましょう。
社会保険に必ず加入しなければならない
次に、社会保険に加入しなければならないという点です。
仮に、個人事業主として、従業員に給料を支払っている場合、雇用者が5人以下であれば社会保険加入は任意になっています。
※その代わり国民健康保険に加入する必要がある
ただ、個人事業でそこまで従業員を雇うことはないと思うので、大半の人が社会保険に加入していないと思います。
しかし、法人化して株式会社を設立すると、従業員があなた一人だけの場合でも社会保険に加入しなければなりません。
(役員報酬を支払う際に社会保険の加入が必須)
社会保険料の内訳は、”厚生年金+健康保険料”を会社で折半するようになっています。
※従業員数に応じる
仮に、給与額30万円を支給される場合を例に考えると、下記の通りになります。
厚生年金:25,000円
健康保険:15,000円
社会保険料:40,000円
個人事業主では、社会保険ではなく国保に加入することになるので、会社負担分がコストになるでしょう。
ただ、毎月30万円の利益が発生した場合、国民健康保険でも28,000円程度の健康保険料が発生します。
※その年の年収によって変動する
そのため、法人化したからといって税金支払いが高くなるということはありません。
特に、社会保険に加入したことで、大きく支払いが変わるということはないので安心しましょう。
事務負担・経理が増える
法人化すると、事務負担が増えるというデメリットもあります。
個人事業主に比べると、会社組織では税務署が決めた会計ルールに従いながら会計処理を行う必要があり、必要によっては税理士を雇わなければなりません。
実際、税金を申告する際は、個人事業主の所得税の申告よりも複雑です。
個人でしようと思うとかなりの時間がかかりますし、結局は税理士・公認会計士に依頼するというパターンも多いようです。
また、個人事業主の場合でも、せどり・転売では様々なものを仕入れて販売するということもあって、税理士を雇う人もいますが、法人に比べると依頼費用が安いのが特徴です。
※事業規模次第
さらに、追加でかかる事務負担は下記の通りです。
社会保険
労働保険
株主総会の開催
役員変更登記
金銭的な負担はもちろんですが、法律的に求められる負担も増えるので注意しましょう。
個人事業主ではなかったことが、法人化すると増えます。
交際費を全額損金にできない
最後に、交際費に関してです。
いわゆる事業経費に分類されるものですが、個人事業主の場合事業に関連性があるものについては、全額事業経費として落とすことができます。
取引先との接待で使ったお金
カフェで打ち合わせしたお金
コンサル生の飲み会
少しでも事業に関連性があるものについては、接待交際費として落とすことが可能です。
一方、法人の場合は、飲食代に限り50%の費用を事業経費として落とせるようになっています。
資本金が1億円以下の企業は、年間800万円の費用が損金として計算することが可能です。
この辺はあまり負担にはならないと思いますが、取引先との接待が多い人からすると、結構痛いところです…
個人事業主の場合は、全額経費として負担してくれたものを、50%でしか落とせなくなりますからね…
まとめ:せどり・転売の利益が拡大したら法人化を検討しよう!
今回は、せどり・転売をして、法人化するメリット・デメリットについて解説しました。
必ずしも、法人化する必要はありませんが、する価値は大いにあります。
形式的には、年間500万円以上の利益が出る事業を行っていれば、法人化するメリットはありますが、行っている事業によって異なります。
事業支出が多いような、せどり・転売に関しては、法人化したほうが有利ですね♪
トータルの支出で考えると、個人事業主よりも節税になる可能性も高いですよ(^^)/
ただ、法人化するとデメリットもあるので、しっかり押さえておきましょう。
社会保険料を負担しなければならない
接待交際費が50%までしか算入できない
登記簿費用等で20万円以上かかる
従業員を雇うと、さらに経費が掛かってしまうので、法人化するかどうかはあなた次第です!
少しでも気になるなら、税理士に相談して法人化するメリットがあるかどうか聞いてみると良いでしょう!