「古物営業法の改正は転売ヤーに影響する?」
「転売をするなら古物商許可証は必要?」
2018年の古物営業法の改正に伴い、転売ヤーに激震が走っています。
インターネットの普及から、メルカリ・ヤフオク等で中古品を販売して利益を出す人が増えたことが、今回の改正の理由です。
結論
2018年10月~2020年11月が提出期間
中古転売をしている人は営業所の指定が必須
提出しないと無許可営業で懲役・罰金を科せられる可能性がある
2018年の古物営業法で変わった7つのこと
2018年に古物営業法が改正されたのですが、大きく分けて7つの項目が改正されています。
※古物競り斡旋業者の承認等を合わせれば8つ
古物商許可手続き単位の見直し事項※改正前よりも緩和
仮設店舗の届け出※以前よりも緩和
簡易取り消しの新設※規制強化
欠格自由の追加※規制強化
非対面式取引の本人確認方法の追加※新設
帳簿の様式※新設
営業所の届け出(古物商人が対象)※新設
大きく分けると、これらのジャンルになります。
古物商許可手続き単位の見直し事項以外は、2018年10月以降から開始しています。
緩和されているものもあれば、規制強化されたものもあるので、中古転売を行っている人にとっては、痛手になりやすい項目です。
中でも、一番最後の”営業所の届け出”については、2018年の改正に伴い規制されたものであり、期限内に届け出をしないと許可が失効してしまいます。
どれも、古物商許可を取得する人が増えたという背景から、改正した法律になります。
改正法はチャンスも多いですが、手続き次第では営業ができなくなってしまうので、注意したいところです。
都道府県の認可から全国共通の認可に変更
法改正に伴い、特に変わった4つのポイントを解説していきます。
まず、改正前の法律では、営業所を新設する際に、都道府県別で古物商許可が必要でした。
例えば、大阪と京都で店舗を開く場合、各都道府県で許可を取る必要がありましたが、改正法ではいずれかの許可さえ受ければ届出のみで事足ります。
営業所の本社が、大阪にあり営業許可を受けているなら、事前の届出だけで全国に営業所を展開できるということです。
古物商にとって、コストの削減にもなりますし、機会損失の削減にもなります。
さらに、従来では各都道府県で審査が必要でしたが、その手間も省けるようになりました。
しかし、古物商許可を持っている事業者は、営業所を定める届け出を出す必要があります。
※今回の規制に伴い可決
期間は、2018年10月~2020年3月の間であり、営業所が一つしかない場合でも、届け出を出さなければなりません。
(出さない場合は施行日以降に無許可営業となります)
仮設店舗での盛業が可能に
古物商は、お客様から何かを買取するときに、受け取る場所というのは限られていました。
(例:営業所、お客様の家)
しかし、今回の規制により届出を出せば、仮設店舗でも古物を受け取ることが可能になりました。
自分が商品を仕入れる場合は関係ありませんが、知り合い・業者から安く買い取る場合は、届出さえ出してしまえばイベント会場・催事場でお買取が可能になります。
ちなみに、営業所がない都道府県でも仮設店舗の設置が可能です。
大阪に店舗を構えていて、施策として京都や和歌山で店舗を出したいと思ったときに、一時的に仮設店舗を設置するのも良いでしょう。
古物受け取りの範囲が広がれば、幅広く商品を仕入れることができるようになるので、ビジネスの幅が広がります。
簡易取り消し制度が新設
古物商営業許可は、従来は有効期限や更新手続きがありませんでした。
そのため、所在地が不明だったり、廃業した後も届出を出していない古物商も少なくありません。
しかし、警察は所在地が不明の古物商については管轄外であり、指導や監督をすることができません。
許可のみがある状態だと、名義貸し等の犯罪に悪用される可能性もあるので、取り締まり対象になりました。
規制前の法律では、公安委員会が管轄の古物商の所在地等の情報を証明して、次長徴収を実施しなければ許可の取り消しはできませんでした。
それが、改正に伴い、所在地がわからない場合につき公告を行って、30日以上本人の連絡がない場合は、許可を取り消しても良いということになりました。
つまり、実態のわからない古物商に警察が手紙・電話などで連絡をして、反応がない場合は古物商営業許可が取り消しされてしまうというわけです。
開業・廃業共に届け出を出す必要があるので、仮に住所・名前等の個人情報の変更があれば、公安委員会に申し出ましょう。
欠格事由が追加された
中古品を継続的に仕入れをして販売する場合は、古物商営業許可が必要です。
また、古物商営業許可というのは、盗品や違法性のあるものを売買するを防ぐための法律でもあります。
古物営業許可というのは、下記の条件を満たした人ではないと許可を取得することはできませんでした。
※従来の法律では
5年以内に許可を取り消された人
犯罪歴がある
懲役・罰金刑を受けたことがある
しかし、従来の法律は暴力団員でも許可を受けることができたのが現状です。
改正と同時に、暴力団関係者・過去5年以内に懲役・罰金刑を受けた人は許可を受けられないとして欠格事由として追加されたのです。
非対面式取引の本人確認方法の追加
非対面式取引とは、ネット等を介して古物営業をするときに必要なことです。
従来、本人確認をする場合は、10つの方法しかありませんでしたが、今回の改正に伴い5つの方法が追加されました。
1.2種類の本人確認書類を送ってもらう
2.①のパターンで古物商が提供するソフト経由で行う
3.ICチップ付きの証明書を送付してもらい確認する
4.身分証明書+顔写真を送ってもらう
5.ICチップ付の証明書+電子署名
非常にわかりづらいので、簡単に説明すると本人確認の方法が従来よりも増えたということです。
帳簿の様式
※カメラ転売には関係ないので軽く説明します
古物営業法の改正に伴い、帳簿の様式が変化しましたが、古物台帳そのものは変わっていません。
変化したのは、自動車を取引するときに限るので、中古車ショップを営んでいる人に限ります。
簡単に説明すると、”自動車の特徴を詳しく書く必要になった”ということでしょうか。
法規制前は、自動車の特徴は台帳に書かなくてもよかったのですが、規制に伴い下記を書く必要があります。
自動車登録番号
車体番号
車名
所有者の名前
カメラ転売には一切関係ありませんが、規制された項目の一つとして覚えておいてください(^^)/
営業所の届け出(古物商人が対象)※超重要
古物商許可を持っている人は、営業所の届出をしなければなりません。
前述した項目で、”都道府県別で出すのは主な営業所だけ”ですが、一つでも届出を出さない場合は、許可が失効してしまいます。
仮に、改正前に古物商許可を取得している人は、早急に届出を出すようにしましょう。
改正に伴い追加されたこの規制ですが、2018年10月に施行されて2年間の猶予があります。
※2020年11月まで
エリアで管轄している公安委員会に届け出を出すことで、正式に認可されます。
ちなみに、許可を失効しても営業を続けた場合は、”無許可営業”として違法になるので要注意!
※3年以下の懲役、100万円以下の罰金に問われます
さらに、古物営業許可を失効してしまうと、5年間は営業できなくなってしまうので注意したいところ。
仮に、営業所が決まっている場合は、すぐに届出手続きをしましょう。
手続きが必要な人は、2018年以前に営業許可を受けている人全員が対象であり、法規制以降に許可を取得した人も対象です。
要は、届出を出していない営業許可を受けている人は全員対象になるということです。
補足:主な営業所とはそもそもなに?
主な営業所とは、事業を行う上で中心となる営業所のことを指します。
カメラ転売をする場合は、自宅やオフィスが営業所に分類されるので、そこを営業所と指定しないければなりません。
しかし、法人の場合でも、必ず登記簿に記載の住所を指定しなければならないというわけではないので安心しましょう。
”営業の中心となる営業所”であれば良いので、普段自分が仕事をすることがある住所を記載すれば問題ありません
補足:提出する場所は?
古物営業許可の届出を提出する場所は、前述したとおり管轄している警察署に提出します。
この場合、指定する営業所を管轄している警察署になるので、別地域の届出を出す場合は要注意です!
例えば、大阪在住で、大阪・東京で古物営業許可を持っている人が、東京を主な営業所にする場合は、東京都の公安委員会に届出を提出しなければなりません。
管轄警察署経由になるので、大阪公安委員会を経由して提出することが可能なので、東京に行く必要はありません。
この場合、東京で届出を提出しているので、大阪では提出必要はないですよ(^^)/
提出については、管轄の公安委員会に直接提出しなければならないので、郵送で対応することは出来ないので注意しましょう!
法改正が行われた背景とは?
古物営業法が改正された背景ですが、大きく分けて二つの理由があるとされています。
古物営業の体系が変化しつつあった
古物営業の場所追加・単位見直しの要望があった
いずれも、有職者による報告書があり、今回の法規制へと至ったとのこと。
前述された改正について、様々な議論が行われたことが一番の原因です。
まとめ:古物営業許可を持っているなら早急に届出を!
古物営業法が改正されたことを解説しましたが、法改正に伴い管轄の公安委員会に主な営業所を指定した届け出を出さなければなりません。
これは、中古カメラを転売する人で、許可を受けている人は全員が対象です。
おそらく、許可を出している人は、警察署から電話・手紙などで告知が来ていると思うので、営業所を定めて提出しましょう。
仮に、2020年の11月までに営業許可を出さない場合は、古物商許可証が取り消しされてしまい、5年間は営業することができなくなります。
さらに、カメラ転売に限らず、中古品をビジネスに取り扱っている場合は、古物営業許可の提出は必須です。
古物営業許可を提出していない人は、下記の3つに分けられます。
そもそも提出する必要があることを知らない
知っているが面倒臭くてしていない
知っているが意図的にしていない
いずれも、提出しないで営業すると、”無許可営業”に該当します。
その場合、3年以下の懲役、100万円以下の罰金に科せられることがあるので、要注意です!
提出して損はないので、時間があるときに提出すると良いでしょう(^^)/